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2012-09-29(Sat)

スキタイの金はどこで採れたの?





大阪歴史博物館特別展「ウクライナの至宝-スキタイ黄金美術の煌めき-」の展示作品の中で、何といっても目玉は金製品。美しい金製品が多数展示されています。

SP1080582.jpg
スキタイ3大黄金製品

胸飾り2
猪頭付剣と鞘
ゴリュトス

このイノシシも金製品
スキタイイノシシ

このリュトンにも金が
リュトン

こんなに金製品がたくさんありますから、観覧されるお客様の関心も必然的に「金」に向きます。展示が始まって2週間、もっとも多い質問が

「黄金製品の金はどこで採れたんですか?」

です。これはある意味当然の疑問であり、担当の私もおそらくお客さまからの質問で出るだろうな、と思っていました。

ただ、原料の産地を明らかにするのは、簡単なことではありません。いくら化学が発達しても、分析機器にかければ、明らかになるものではありません。

まず、考古学的に産地を明らかにするためには、黒海北岸およびその周辺の鉱山で採れる金の化学的特性を把握しなければなりません。また、金が産地によって化学的特性が異なるのであればいいのですが、そのような話は聞いたことがありません。

たとえば、弥生時代や古墳時代の青銅器の原料の産地を推定するのに、鉛の同位体の比率を使うという方法があります。詳細な説明は省略しますが、基礎研究ができている故に、同位体比の特徴から中国のどの地域なのかという推定が可能になるというわけです。

また、金属ではありませんが、日本考古学では石器の原料となる石の産地を基にした、弥生時代以前の流通の研究があります。たとえば、弥生時代にサヌカイトという硬い石があり、石の鏃(やじり)や槍などに使われます。
大阪市内の遺跡で発見されるサヌカイトは、大きく2種類あります。ひとつは黒に近い濃い色をしているもの、もうひとつは黒いもののやや白っぽい特徴があります。産地は、前者が博物館の窓からも見える二上山(大阪と奈良の境にあるフタコブラクダのこぶのような山)、後者が金山(香川県坂出市)です。石の特徴が把握できているからこそ、原料の産地がわかります。

これ、博物館から見える二上山
二上山


いろいろ書きましたが、原料の原産地の基礎データがそろっているということが、産地推定の最低限の条件となるわけです。

調べてみますと、ウクライナ国内でも金は採れるようです。また、周辺国も含めると、バルカン山脈(ブルガリア)、コーカサス山脈(グルジアなど、黒海とカスピ海の間)で古代以来多くとれたようです。ギリシャの文献には、コーカサス山脈に金を採りに行ったというような記録があるそうです。ただ、これらがスキタイによって採掘された金なのかどうかは、確証、それも化学的確証は得られていません。

今回は、なんだかいいわけじみた話になってしまい、収拾がつかなくなってしまいました。
私は化学については門外漢で、あまり責任をもったコメントはできませんが、金の産地を特定できないのは、正直なところ資料的な限界です。おそらくたくさんの金製品が発見されたとしても、特定するのは難しいかもしれません。

画期的な方法が生み出されると明らかになるかも、という夢を見つつ、今日は筆をおきたいと思います。

さて、明日、9月30日(日)はスキタイ動物トークです。楽しみですね。

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